骨盤の後傾がストレートバック(平背)を生む
ストレートバック(平背)の真の原因とは何でしょうか?
本来、背骨はなだらかなS字のライン(生理的曲線)を描いているのが理想ですが、ストレートバックは、その自然なわん曲が失われた起伏のないストレートな状態を指します。
このストレートバックの脊柱の骨盤は、必ず、通常よりも立って後傾しているという事実があります。そして、あまり知られていないのですが、この骨盤の後傾を生んでいるのは、骨盤を支えている左右の両股関節の転位です。
股関節の転位により生じる脚長差
転位とは股関節の角度が正常な角度からずれて戻らなくなった状態で、これは左右足の長さの差(脚長差)をもたらします。
例えば、
右股関節が外旋(外ねじれ)→右脚が仮性延長長くなる→右骨盤が後傾・立つ
左股関節が内旋(内ねじれ)→左脚が仮性短縮短くなり→左骨盤が前傾・寝る
左右の転位方向(外・内ねじれ)によりどちらかの脚が長くなりますが、こういった場合は概ね、最終的に骨盤が後傾します。
股関節の転位が進行すると、脚長差が増し、骨盤の後傾も進行→ストレートバックが更に酷くなり→更に行くと猫背になります。
当然、このストレートバックにしても骨盤の後傾にしても、脚長差を縮める事によって快善されていきます。
それでは、股関節の矯正によりストレートバックは、具体的にどのように快善されていくのでしょうか?
今回は、右足が長く股関節の遠隔矯正を受けられた男性H・Aさんのケースを例に取らせていただいて、詳細にご説明したいと思います。
右足が長く、右足が長い場合の症状(呼吸器・循環器系)
H・A様 20代 千葉県在住
20代の男性の方ですがストレートバック、ストレートネックで悩まれ、股関節の遠隔矯正を受けられました。
ストレートバックと共に、循環器系の症状が酷くなられています。3年前に心拍数が上がるようになり、病院で色々と調べたところ、胸郭が広がらないので心肺機能を強化するようにと言われました。
それ以後、ご自身で運動をよくされていたのですが、最近ではコロナの問題で外で運動をできなくなり、ここのところ心拍数がまた上がるようになってしまい息がし辛く、胸が苦しいなどの症状がでるようになりました。
ストレスがかかると下痢をしやすくなります。
見た目の脚長差と股関節転位
事前に送っていただいた写真では、確かに、
ストレートバック、ストレートネックで、脊柱がS字のわん曲度を失った状態です。
この根底には脚長差(左右足の長さの差)があり、脚長差は長い方の股関節が短い足より相対的にみて外側に転位していることからもたらされます。
右足が長く見えますが、股関節が転位(角度が異常になる事)する事で生じる脚長差(左右足の長さの差)は、転位が重症化すると複雑に体をゆがめてバランスをとって立つ事で、逆の脚が長くなっているケースも多いため、単純に見た目のみでは判断できないのです。
3センチもの脚長差がある、という場合ならばそれは見た目どおりでしょうが、1cm強まで位ならば慎重に判断する必要があります。
しかしH・Aさんの場合は、右足が長い場合の循環器系の症状以外は比較的軽く、体型などからも、ほぼ右足が長いと特定できました。
遠隔診断
遠隔診断がはじまって数分、
基本動作の偏り具合を見させていただいて、間違いなく、右足が長いとの確証を得ました。例えば・・・、
①左に重心をかけて右脚から踏み出す
②左脚より右脚の方が外側に開きやすい
*但し、脚長差は全体的に見て判断するもので、上記に当てはまるからと言って必ずしも右足が長いという事ではありません。
外で運動できないなどのストレスが重なり脚長差が増幅、骨盤が立ち(後傾)、ストレートバックとなり、右足の長い体質である循環器系の症状が再発している状態である事は間違いないようです。
遠隔矯正一回目でほぼ揃った脚長差(1,5cm→僅差)
ご家族の方に撮影していただきました。
右足が外旋・外転、左足が内旋・内転していて1,5cmの脚長差が生じています。
仰向けにまっすぐ寝た状態で、両足を左右ぴったりとつけてアキレス腱を伸ばし(背屈)、そのかかとの左右の差異を写していただいたところ、明らかに右足が長く脚長差が1,5cm程でていました。
左股関節が外旋・外転、右股関節が内旋・内転している単純な股関節転位のタイプです。
左スクワットで矯正を行う
左スクワットを一回して歩いていただくと、すぐによい反応が返ってきました。回数を重ねる毎に、
『右に重心が乗りやすくなった・・・』
『足全体が軽くなってる・・・』
『右股関節にひっかかる感じがあったのが消えました ! 』
最後に、仰向けに寝て右足を開いていただくと、外旋(外ねじれ)が矯正されて過度に外に開いてしまう傾向がなくなっているようです。
次は、短い方の左足はどうでしょう?
『左足を開いてみてください。開きやすくなっていませんか?』
『あ、開きやすい・・・』内旋が矯正されているようです。
右スクワットのみ行い左股関節はまったく矯正していないのに、これには驚かれたようです。
これは、左右の股関節は骨盤で連動していて片側を内旋させるともう片側は外旋するんですね。
H・Aさんの場合は、この股関節の転位原則そのままに股関節が転位し脚長差が生じているので、このように簡単に左右の股関節が矯正されてしまいました。
左右足の長さがほぼ揃う
そして脚長差ですが、又、先ほどのようにまっすぐに仰向けになって両アキレス腱を反らしそれを上から撮ったところを見てみると、
私『脚の長さが大体揃っているように見えるんですが・・・』
ご家族の方『そうですね。そう見えます・・・』
ということで、1,5cmあった脚長差がほぼ揃ったことの確認がとれました。
さすがに、最後にしたスクワットで、左股関節に違和感が少し生じたようですので今日の矯正はこれで終了としました。
正しい股関節に近づくにつれて骨格がこれまでと変りますので違和感が生じるのですが、本来、これが正しく自然なのですから体は直に慣れ楽になっていきます。
その後にいただいたメールでは、この違和感は直ぐに取れたという事です。しかし十分に矯正されたため、しばらく間隔を空けて2回目の矯正を行う事にしました。
右足が長く年齢が20歳そこそこと若いため、あまり好転反応(排毒反応)はでないかもしれませんが、しばらくは念のためご自身での矯正を控えて様子を見てくださいとお伝えいたしました。
遠隔矯正4回目 心拍数が上がる頻度が減少
遠隔矯正3回を終えて、4ヵ月が過ぎ、4回目の遠隔矯正で、心拍数が上がる事がなくなってきているとの報告を受けました。循環器系の症状が悪化してく右足の長い体質が快善されてきていて、更に、お腹がスリムになっているようです。
この3ヵ月間、自己整体をたまに行う程度で矯正スクワットはほとんどされていませんでしたので、せっかく揃った左右の足の長さが少し元に戻っていたのですが、筋肉のつき方や循環器系の機能に快善が見られています。
股関節が転位しやすく戻りやすい事が分かりましたので、やはり、矯正スクワットは必須、しばらくは自己整体と共に続けて構いませんとお伝えしました。