バレエと股関節の痛み|先天性股関節脱臼

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概要

先天性股関節脱臼で変形性股関節症と診断されている方の遠隔矯正一回目の改善例です。

左股関節が先天性股関節脱臼ですが、変形性股関節症と診断され、ここ数年は、痛みと歩き辛さを抱えていましたが、遠隔矯正で脚長差が大幅に縮まり、股関節痛や歩き辛さなどに改善が見られています

又、クラシックバレエを続けられる中で症状が悪化していったと言う事ですが、バレエをやっていて股関節痛などの症状に悩まれる方は意外に多いです。それは何故でしょうか?

以下に、バレエと股関節転位との関係についても何らかのご参考になるように、少しご説明しています。

バレエを続けていく中で変形性股関節症に

T・H様 60代 東村山市在住

12年前にバレエの発表会の後、左股関節にはじめて異変を感じ、病院を受診されたところ、左股関節が先天性股関節脱臼で、更に、変形性股関節症になっているとはじめて診断されました。

最近、ますます左脚が短かくなっているように感じ、痛み、歩きにくくなっています。

ご相談のお電話で、『左脚が外転しているので、内股になるように歩いています』ということで、ご自分で色々と判断され自己流の矯正をされているのですが、疑わしく、その場で質問に答えていただいた結果、左股関節は外転ではなく確実に内旋・内転していると思われ、この自己流の矯正を早速やめていただきました。

恐らく、右脚が長く、左脚は内向きの脱臼で、脱臼が進行しているため変形性股関節症になっているのに、更に内向きに自己矯正をして悪化させ、苦しまれていると思われました。

取りあえず口頭でお教えしたスクワットは効果的にはなされず、最初のセッション日まで痛みと歩き辛さが続いていました。

矯正スクワットで階段が普通に上れた!

問診の結果でも明らかでしたが、セッション時、ご家族のご協力の下、パソコン画面でもしっかりと確認できたのは、右脚が長く、左股関節が後方脱臼といって内向きの脱臼だということです。

矯正スクワット実践後も歩きづらく、最近では階段も登り辛いということなので、スクワットの足の位置を変え、最大限に効果を引き出すやり方で数回スクワットを行っていただいたのです。その後、その場で階段を上って頂くと、いつもの感じではなく、『あれ? 普通に上れる!』ということでした。

股関節矯正スクワット

スクワットで左股関節が少し矯正され、左脚の開きが良くなっているので、脚長もそれまでより揃い、左右のバランスが良くなったことを実感。

T・Hさんのお話では、この後方脱臼の状態が進行し、変形性股関節症と診断される過程に、趣味で長年続けてこられたバレエの練習が大きく関わっているようでした。

バレエと股関節転位との関係

実は、バレエをやっていて、股関節の痛みや不具合を訴える方は、結構多いのです。バレエに限らずスポーツは自分の股関節タイプを知って選ぶか、気をつけていないと、脚長差を増したり、体がアンバランスになりやすいです。

バレエの場合は、両股関節共に開く場合が多いので、両股関節共に内向きに内旋・内転している人には基本的には矯正になって良いのですが・・・

以前に、両股関節内旋の方でバレエをなさっていて、『こういうポーズがうまくできないのですけど・・・』と仰る方がいて、このポーズは両脚の内側をぴつたりとくつつけて左右の足先を真横に開くというものでした。両股関節内旋のこの方にとっては、両足先を外旋させるこのポーズは確かに難しかった事でしょう。

そして、この練習を一生懸命続けていると、脚長差も意外に増します。足先を外に向けること自体は問題ないのですが、もともと脚長差があるのです。短い方の足は、意識してない時は思うほど開いていないでしょうし、長い方の足は、短い側より外に転位しやすくなっており、短い足の何倍もこの練習が効いて、〔相対的に〕足が長くなるのです。

  外旋〔がいせん〕すると足が長くなる・・・・〔仮性延長〕

  内旋〔ないせん〕すると足が短くなる・・・・〔仮性短縮〕

結果、短い足は内に引っ張られて短くなり、脚長差が増していき、この方のように、股関節痛などの症状がでるようになります。

これが、両股関節内旋タイプではなく、長い方の足がもともと外旋している人であればどうなるでしょうか?尚更、脚長差はどんどん開いていき、進行の度合いは早くなります。

T・Hさんも、同じような道を辿って、脚長差が増していき、痛みや、歩き辛さなどの症状に悩まされていたと考えられます。

 患足でない足の股関節の転位の見極めこそが大切

『・・・では、私はバレエは辞めたほうが良いのですか?』と、一瞬ショックをうけられていましたが、矯正動作の延長でやることができるのならとりあえずは大丈夫でしょう。このような練習でも、重心や足先の角度を変えるなどして、矯正になるように意識されれば、だいぶ変わってきます。

しかし、股関節疾患を抱えた方が、股関節を整えながら、バレエを本格的に続けていけるのかどうかは、もともと、長い方の足の股関節転位が外旋なのか、内旋なのか、ということにかかっているのでしょう・・・

股関節は左右で連動する

股関節は左右の骨盤で連動していて、片側の脚が外旋・外転しているとその足を開いた時、もう片側の股関節は内側に引っ張られます。ですので、右股関節が外旋している場合、右脚を発表会などでその足も縦横無尽に開いて自由に踊るというのは、なかなか難しいです。

何れ、T・Hさんのように短い脚の股関節の症状の悪化(内旋の進行)、という現実が、遅かれ早かれ待ち受けています。

両股関節内旋であれば、順調に矯正できていった場合ですが、右脚を多少は開いても矯正を妨げないような余地が、将来的には出てくると思われます。

スクワットや自己整体を学ばれて日々、実践されていけば、ということですね。

*両股関節の本格的な診断は、遠隔矯正を数回受ける中で正確に特定する事ができます。

スクワットで脚長差が縮まったご報告

T・Hさんは、しばらくバレエの練習をお休みして自己矯正に取り組まれ、その後、メールをいただきました。

先日は、遠隔矯正を有難うございました。その後、股関節の調子がとても良いです。スクワットは毎日三セットを続けています。

スクワットをやると左足が筋肉痛になりますが、その後、必ずなくなり、これまでより歩きやすくなります。左足が長くなってきて、左右の長さが揃ってきたように思います。・・・・・

自己矯正等、熱心に頑張られているご様子です。

筋肉痛は正しい矯正にはつきもので、T・Hさんの仰るように、必ずなくなり、その後、安定感がでたり、調子がよくなります。

後方脱臼の左脚が矯正されると、今まで退化していた太腿の前・外側に筋肉がつくようになるんですね。これからもお体に気をつけてがんばってください。

ありがとうございました。

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