はじめに
慢性的となった長年の首の痛みについて現在遠隔矯正を受けられているM様から質問を頂きました。10年来の首、肩、肩関節、肩甲骨の不具合と側弯、そしてこれら全ての根本原因である脚長差についてご説明しています。側弯症と診断された方にも参考にして頂ければ幸いです。
10年以上前に首を痛めたことがあり、ある動作をする時は、根強い慢性的な痛みが残っています。舞踏の準備運動で感じるのですが、
①正面向いたまま頭を左肩に倒すストレッチの時、左背中に響いて余り曲げることができません。右に倒す方がまだ深く曲げられますが、右に倒すと左肩というか肩甲骨にやはり突っ張りがあります。
又、正面から顔を左側に向けるストレッチの時、余り角度がつけられません。ゆっくりイヤイヤと首を振ると、首の左後ろがジャリジャリなります。②何か今まで習った方法、それ以外でも改善する方法があったらお伺いしたいです。
首、肩の不具合と側弯との関係
左足が仮性延長して長くなると左の骨盤が高くなる為、骨盤に垂直についている脊柱ははじめは右側に倒れて左へ戻り腰部において右凸のカーブを描きます。Mさんの場合は右肩が大きく下がっているので胸部においては左凸の側弯になり全体的にS字の側弯であることが見てとれます。左肩関節は右肩関節より内旋していて大きく外に開いたり外旋する動きの時右側より違和感のある状態です。
上の写真は、大まかな骨盤と側弯の状態を示していますが、胸部でこのように左凸に側弯すると、脊柱をはさんだ背中の左側の面積が狭くなり、右に筋肉が偏ります。身体上部で脊柱は右に向かっているわけですから、この状態で、
①正面を向いたまま頭を左肩に倒すと言う事は右へ向かう側弯と逆方向に向かいますから、左背中に響いてあまりうまく曲げる事ができない、右側へは行くけど左側へはうまく曲げられないわけです。右に倒す方がまだ深く曲げられますが、これをやると左凸側弯の度合いが増しますから、左肩、左肩甲骨に突っ張りを感じるわけです。
ゆっくりイヤイヤと首を振ると、首の左後ろがジャリジャリなる感じがするのは歪みにより偏って固まってしまった頸椎の関節周りの筋肉や靭帯が無理に動かされてこすれたりはじいたりする振動的なものが伝わってくるんですね。
脚長差を縮めることによる改善効果
写真左が矯正前、右が遠隔矯正一回受けた後ひと月後
側弯の度合いが明らかに改善されています。ひと月後の写真は右肩が左よりあまり落ちていません。初回遠隔矯正後に脚長差が縮んだからですが、しかし、ある動作をする時の長年潜んでいる左肩、肩甲骨の問題はまだ消えないという事です。
②何か今まで習った方法、それ以外でも改善する方法があったらお伺いしたいです。
これは当然、脚長差を縮めていくことで側弯が更に良くなっていくと、左肩関節の内旋も含めて徐々に改善されていきます。時間がかかるかもしれませんが、脚長差が縮まっていけば自然に治っていくのが道理なのです。自己矯正を続けて行かれれば、徐々に楽になっていくでしょう。
楽器を左肩にかける時は、できれば左肩を少し外旋させるようにするとよいですね。矯正のある時点で必ず左半身の違和感や痛みが出てくると思われますが、一時的なものなのですぐに気がついてゆっくりと体を休めるようにしてください。